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一般質問全文紹介

本日の一般質問全文を載せます。
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皆さん、おはようございます。
食と緑を守る緑友会、福岡県議団の安部弘彦です。
通告書に従いまして、「地球温暖化対策と自動車の電動化」について、一般質問させて頂きます。
まず、「地球温暖化対策」について伺います。
2021年、イギリスで開催された国連気候変動枠組条約第26回締約(ていやく)国(こく)会議、いわゆるCOP26では、パリ協定で今世紀末までの世界の平均気温の上昇について、産業革命前の水準から「2度未満に抑える」こととしていたものを、「1.5度以下に抑える」ことを世界の共通目標として位置付けるなど、気候変動対策として一歩踏み込んだものとなりました。
一方で、昨年11月に、エジプトで開催されたCOP27では、温室効果ガスの排出量は少ないものの、気候変動の影響に対して脆弱(ぜいじゃく)な途上国が長年求めてきた、地球温暖化で引き起こされる「損失(そんしつ)と被害(ひがい)(ロス&ダメージ)」について議論され、その支援のための基金創設を規定した成果文書が採択されたものの1.5度目標達成のための温室効果ガスの、排出削減目標は合意に至りませんでした。
加えて、COP開催中に民間団体が実施した、不名誉な「化石賞」を我が国が受賞したのは、皆さんご存じの通りだと思います。今申し上げたように、様々な議論があったCOP27ですが、このCOP27の成果に対して、知事は、どのような認識を持っておられるのか、その所見を伺います。
次に、「自動車の電動化」について伺います。
2019年のデータですが、全国地球温暖化防止活動推進センターの資料によると、世界全体で排出される二酸化炭素の量は、約335億トン。
国別の温室効果ガス排出量では、多い順に中国、アメリカ、インド、ロシアと続いて日本は5番目に排出量が多い国で、国民一人当たり換算で、年間約9トンとなっています。
国は、温室効果ガス排出量を2030年度に2013年度比で46%削減することを目標とし、特に自動車については電動化を進め、2035年までに新車販売で電動車100%を実現することを目指しています。
県でも、2030年度までに電動車への切り替えが可能な公用車について、計画的に導入する予定ということですが、一言で電動車と言いましても、その内容は、電気自動車(EV)、ハイブリッド車(HV)、プラグインハイブリッド車(PHV)、燃料電池車(FCV)と様々な種類があり、近年、この中でも特に、電気自動車(EV)へシフトする動きが加速しています。
2021年11月、自動車メーカーのボルボが、電気自動車(EV)は本当に環境にやさしいのか?と題し、同社の電気自動車「C40」の製造からスクラップされるまでのライフサイクルにおける二酸化炭素排出量について報告を行いました。
この報告書によると、電気自動車は走行時の二酸化炭素排出量が少なかったとしても、製造時(Matrials.およびLi-ion battery.)の二酸化炭素排出量が内燃機関(ICE)エンジンで走行する車と比較して2倍近くとなるため、内燃機関(ICE)エンジン車のライフサイクルでの排出量を逆転するためには、10万キロ以上走らないといけない事になっています。都会をちょこちょこ走るぐらいであれば、10万キロも走るには何年もかかりますから、短期間であれば、電気自動車の方がかえって二酸化炭素を多く排出することにもなりかねません。ボルボは、今後はゼロエミッション電力の調達などで、製造時の二酸化炭素排出量を減らすとしていますが、 この報告書は、あまり電気自動車に有利なデータとは言えません。率直にデータを公開した姿勢は大いに評価できると思いますし、これだけしか二酸化炭素排出量の削減メリットが無いのなら、高い費用をかけて慌(あわ)てて政策的に電気自動車化(EV化)を急ぐ必要も無いと感じるのです。
また、電気自動車の製造時には多量の鉱物資源が必要で、この生産・精錬は、水質汚染や土壌汚染などの環境問題をも抱えています。バッテリーに使用するコバルトの主要産地はコンゴ。モーターに使用するレアアース(ネオジム)は中国の内モンゴル自治区で主に生産されていますし、文化的ジェノサイドも起きています。電気自動車については、まずは環境問題や人権問題をクリアしたレアアースなどの鉱物資源の供給体制を確立することが先決ではないかと思います。
二酸化炭素排出量の削減のためには、電動車の普及促進を進めることは必要だと思いますが、すべての車を慌てて電気自動車へシフトするのはどうかと思います。
何故ならば、我が国のハイブリッド技術はコストを含め、世界最高峰であるからであります。
そこで、本県の公用車への取組を含め、電動車の普及促進に関する知事の考えを伺います。
また、北部九州の自動車産業は、産学官が一体となって、国際競争力の高い企業の集積、技術力の高い地場企業や人材の育成などに取組んでこられ、現在では年間154万台の生産能力を持つ世界有数の自動車生産拠点に成長し、さらには、脱炭素化に向けた電動化への対応など、北部九州自動車産業グリーン先進拠点の推進に取り組まれております。
今後、国の目標を踏まえ、自動車メーカーによる電動車の開発・生産が更に加速することが見込まれており、現在北部九州で生産されている車両のうち電動車の割合は17%、これが2035年時点では、パリ協定を踏まえ各国が定めた電動化の規制に照らしますと、生産車種の約86%が電動化に対応する必要があり、県内サプライヤーへの影響も出てくるのではないかと考えています。
中小企業が電動化分野に参入するためには、新たな設備投資や技術力の向上が必要と考えますが、参入を目指す中小企業を今後どのようにして支援していくのか、知事の考えを伺います。
知事の前向きな答弁を期待し、私の一般質問を終わります。
ご清聴ありがとうございました。
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服部知事の答弁
問 COP27の成果について
○ エジプトで開かれたCOP27では、温室効果ガスの排出削減対策である「緩和」や気候変動の悪影響に伴う損失と損害、いわゆる「ロス&ダメージ」への支援措置など、気候変動対策の各分野における取組の強化について、議論が行われた。
○ その結果、
①「今世紀末までの世界の平均気温の上昇を、産業革命前の水準から1.5度以下に抑える」という1.5度目標の重要性の再確認や、毎年の温室効果ガス排出削減の進捗確認などを内容とした「緩和作業計画」の策定のほか、
②気候変動の悪影響に対して、特に脆弱な途上国の対応を支援するための基金の設置
などが決定されたところ。
○ 今回の決定で、
①1.5度目標が再確認され、その追求が決意されたこと、
②先進国と途上国との間で意見の隔たりが大きかったロス&ダメージについて、基金の設置が合意され、取組が一歩進んだこと
は、先進国と途上国が一体となって世界全体で地球温暖化対策を進めようという決意が改めて示されたものであり、大変意義があることだと考えている。
一-②
問 電動車の普及促進について
○ 県では、温暖化対策に関するポータルサイトである「ふくおかエコライフ応援サイト」に、電動車の紹介や国の補助金情報を掲載して、その普及を図っている。
○ 電動車に係る県の率先取組としては、公用車を令和12年度までに電動車に更新するという国の目標を踏まえ、県においても、切り替えが可能な公用車792台について、令和12年度までに更新を行う予定。
○ 電動車には、電気自動車、ハイブリッド自動車、燃料電池自動車などの種類があり、その導入に当たっては、各電動車の長所・短所を踏まえた上で、車の移動距離・用途等に応じて選択する必要がある。
このことから、来年度導入予定の93台については、電気自動車を75台、航続距離がより長いハイブリッド自動車を18台としている。
○ また、国においては、世界的な脱炭素社会の実現の動きを受け、令和17年までに全ての新車を電動車とする方針を打ち出しているが、
①電動車の導入目標は種類ごとに示されておらず、
②EU、アメリカ、イギリスなど、各国の導入目標もそれぞれ異なっている状況にあり、
③加えて、国において、急速充電設備の規制見直しに向けた動きもあること
から、具体的な電動車の普及状況などについて、今後の動向を注視していく必要がある。
○ このため、県では、公用車への電気自動車の導入については、当面、定額制サービスの「サブスク」を活用してまいりたいと考えている。
○ 今後も、自動車を取り巻く社会情勢や世界的な動きも見極めながら、着実な電動車の普及促進に努めてまいる。
一-③
問 電動化分野への参入を目指す中小企業への支援について
○ 県では、平成30年度からEVの構造や部品などの最新情報を提供する「自動車電動化部品研究会」や、EVの分解部品を使った技術講習などを行う「自動車電動化技術道場」を開催している。
  昨年7月には、地元企業の電動化部品への参入を支援する「自動車関連企業電動化参入支援センター」を開設し、電動化に関する相談や課題解決のための専門家派遣、さらには、工業技術センターと連携した製品開発支援などに取り組んでいる。
○ 現在、県内企業約80社が、電動化分野への参入を目指しており、そのうち数社が、EVに必要なモーターやバッテリーなどを構成する部品の開発に着手している。
○ 今後は、これをさらに加速させるため、センターにおいて、電動車分解部品の常設展示や企業への貸出を行うほか、指導員が各地域に直接出向き、これらの部品を活用してアドバイスを行う「出前電動化道場」に取り組みたいと考えている。
  こうした支援により、電動化分野の新製品の開発に取り組む企業に対しては、県補助金による助成を行うほか、新たな設備導入が必要な場合は、国の「事業再構築補助金」や「ものづくり補助金」の活用を促してまいる。
○ こうした取組を通じ、県内中小企業の電動化分野への業態転換を促進してまいる。